夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

グレート・ギャッツビー 第三章

グレート・ギャッツビー 第三章-35 恋の予感

グレート・ギャッツビー 第三章-35 太陽に照らされた灰色の目はまっすぐ前を見つめていたのに、関係を発展させようという意思を彼女から感じて、一瞬、彼女を愛しているような気になった。でも、オレは即決する方じゃないし、欲望にはブレーキをかけることに…

グレート・ギャッツビー 第三章-34 ジョーダンの本性暴かれる

グレート・ギャッツビー 第三章-34 ジョーダン・ベイカーは賢くて抜け目のない男を本能的に避けていた。今思えば、一定基準から外れることのない所にいる方が安全だったんだろう。彼女はどうしようもないほど不正直だった。不利になることが堪えられなかった…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-33 ジョーダンの秘密

グレート・ギャッツビー 第三章-33 しばらくはジョーダン・ベイカーを見かけなかったけど、夏も真っ盛りの頃、また出会った。最初は、ゴルフチャンピオンでみんなが知ってる彼女と出歩くことに得意になっていた。それから、また違う気分になった。恋に落ちた…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-32

グレート・ギャッツビー 第三章-32 それから、劇場街に行く5列に並んだタクシーで暗い四十何番街のレーンが埋め尽くされる8時頃には、やりきれない憂鬱を覚えた。停まったタクシーの中に、寄りかかる人影が見え、歌声や、聞こえない冗談で笑っている声が聞こ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-31

グレート・ギャッツビー 第三章-31 オレはニューヨークが好きになってきた。忙しくて、夜は刺激的で、常に行き交う男や女や車が、落ち着きのない目に与える満足感。五番街を歩くのが気に入って、人混みからイケてる娘を見つけては、しばらく彼女たちの人生に…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-30

グレート・ギャッツビー 第三章-30 全くよく働いた。朝早くプロビティ証券に行くためにニューヨーク下町の白い谷間を急いで横切ると、朝日がオレの影を西に投げた。同僚と、若い債権セールスマンの名前は全部覚えて、彼らと一緒に混んだレストランで小さなポ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-29

グレート・ギャッツビー 第三章-29 これまで書いてきたことを見返してみると、何週間かずつ離れているこの3日間が、自分に強烈な印象を与えたように見える。だけど実際は逆で、忙しかった夏に起こった単なる普通の出来事にしかすぎなかったし、それからかな…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-28

グレート・ギャッツビー 第三章-28 「試して損はねぇだろ」 男は言った。 最高潮のクラクションは月まで届く勢いで、オレは向きを変えて芝生を横切り家へと急いだ。だけど一回だけ振り返った。ウエハースのような月はギャッツビー邸の上にかかり、笑い声と話…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-27

グレート・ギャッツビー 第三章-27 「初めは停まったってことも分からなくてヨォ」 そこでポーズ。それから、大きく息を吸い込んで肩をいからせ、はっきりした口調で続けた。 「誰か、ガソリンスタンドがどこにあるか知らないかぁ?」 その男より少しは正気…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-26

グレート・ギャッツビー 第三章-26 ギラギラするヘッドライトに目がくらみ、やかましいクラクションに注意が削がれて、亡霊のような男はぼんやりと立っていたが、ダスターコートの男に気づいた。 「どうしたんだ?」 男は静かに言った。 「ガス欠でもしたの…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-25

グレート・ギャッツビー 第三章-25 驚きで野次馬が一瞬だけ鎮まった。 「自殺でもしたかったのか?」 「車輪が一個もげるだけでラッキーだったな!ド下手運転で、運転しようともしなかったんだからな!」 「状況がわかっとらんな!」 加害者が言明しだした。…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-24

グレート・ギャッツビー 第三章-24 長いダスターコートを着た男が、事故車から降り、今や道路の真ん中に立って、車からタイヤへ、タイヤからの見物人へと、愉快そうでありながら困惑した様子でしげしげと見ていた。 「ほれ」 彼は言った。 「タイヤが溝には…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-23

グレート・ギャッツビー 第三章-23 でも、階段を降りかけた時、まだ夜は終わったと言い難いことに気づいた。玄関口から50フィートのところに、たくさんのヘッドライトが奇妙で騒々しい光景を照らしていた。ギャッツビー宅の車道から2分も行かないところで道…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-22 ギャッツビー の秘密

グレート・ギャッツビー 第三章-22 ホールで自分の帽子が来るのを待っていると、書斎の扉が開いてジョーダン・ベイカーとギャッツビーが揃って出てきた。彼はジョーダンに向かって何か熱心に言いかけたが、何人かが別れの挨拶を告げに近寄ってきたため、彼の…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-21 怒ったダイヤモンド💎?

グレート・ギャッツビー 第三章-21 オレは辺りを見回した。残りの女たちのほとんどは、夫と思われる男たちとケンカの最中だった。ジョーダンの連れでさえも、イーストエッグから来た四人組だが、意見の違いで離れ離れになっていた。一人の男は若い女優に鼻の…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-20

グレート・ギャッツビー 第三章-20 大広間は人で一杯だった。黄色ドレスの女の子の一人がピアノを弾いていて、脇には、有名なコーラスグループにいる背の高い赤毛の若い女が歌を歌っていた。彼女はかなりシャンペンを飲んでいて、その晩は悲しい事ばかりとす…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-19

グレート・ギャッツビー 第三章-19 「失礼します」 ギャッツビー の執事が突然オレたちの前に現れた。 「ベイカー様ですよね?」 彼が聞いてきた。 「失礼ですが、主人があなた様に個人的に会いたいと申しております」 「わたしにですって?」 彼女は驚きの…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-18

グレート・ギャッツビー 第三章-18 オレはトストフ氏の曲にも上の空だった。だって、オレの視線は階段に一人立ち、一つ一つのグループを温かな目で見守るギャッツビーに釘付けだったから。日に焼けた皮膚は顔の上で精悍に引き締まり、髪は毎日刈っているかの…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-17

グレート・ギャッツビー 第三章-17 「とにかく彼は大きなパーティーを主催するの」 都会的なよそよそしさをたもったまま、ジョーダンは話題を変えた。 「それにわたしは大きなパーティーが好き。人との距離感が適当にあって仲良くなれるわ。小さいパーティー…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-16

グレート・ギャッツビー 第三章-16 ギャッツビー 氏が名乗るのと同時ぐらいに、執事が急いでやって来て、シカゴから電話がかかっていると告げた。 彼はみんなに向かって小さく一礼した。 「ねぇ君、何か必要だったらいつでも言ってください」 彼はオレに言っ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-15 謎の男登場😱

グレート・ギャッツビー 第三章-15 一瞬、男は訳がわからないというようにオレを見た。 「僕がギャッツビー ですが」 出し抜けにそう言った。 「え、そうなんですか!それは失礼しました!」 オレは叫んだ。 「君が知ってると思ったんですよ。これじゃあ、い…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-14

グレート・ギャッツビー 第三章-14 オレはまだジョーダン・ベイカーとつるんでいた。オレたちは、オレと同世代ぐらいの男と、ちょっとしたことで転げ落ちるほど笑う若い女の子と一緒に座った。もうすっかり楽しい気分になっていた。フィンガーボールほどの大…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-13

グレート・ギャッツビー 第三章-13 「誰が連れて来たんだね?」 男はしつこく尋ねた。 「それとも自分らで来たのかね?ワシは連れてこられた。ほとんどの人間は連れてこられたのじゃよ」 ジョーダンはそれには答えず、用心深く微笑んでみせた。 「ワシはルー…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-12

グレート・ギャッツビー 第三章-12 オレたちがいぶかしげな顔をしたので、これ幸いとばかりに急いで本棚に歩み寄りストッダード世界紀行第1巻を持って来た。 「ほらごらん!」勝ち誇ったように叫んだ。 「この本は正真正銘の印刷物だ。アイツはベラスコ(リア…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-11

グレート・ギャッツビー 第三章-11 「行きましょうよ」 退屈で落ち着かない三十分が過ぎてジョーダンがささやいた。 「ここは息がつまるわ」 オレたちは、主人に会いにいくことを口実に立ち上がった。オレがまだ会ったことがないので気にしているとジョーダ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-10

グレート・ギャッツビー 第三章-10 彼女は目を細めて体を震わせた。ルシルも震えた。オレたちは周りを見渡してギャッツビー がいないか探した。うわさ話なんか普段はしないような連中がこうしてコソコソ話し合ってるんだから、ギャッツビーという男がいかに…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-9

グレート・ギャッツビー 第三章-9 「ギャッツビー よ。誰かが言ったんだけど。。。」 二人の女の子とジョーダンが秘密をささやくみたいに身を乗り出した。 「誰かが言ったんだけど、昔、人を殺したんだって」 オレたちは盛り上がった。マンブル氏たちも身を…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-8

グレート・ギャッツビー 第三章-8 「わたしたちのこと知らないでしょ」 黄色のドレスの一人が言った。 「でも、1ヶ月前に会ったのよ」 「あれから髪を染めたのね」 ジョーダンが答えたので、オレはびっくりした。でも、彼女たちが自然に歩き去ったので、ジョ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-7

グレート・ギャッツビー 第三章-7 到着するとすぐにホストを探そうとした。だけど、そこにいた数人に主人がどこにいるかを尋ねても、驚いたようにどこにいるのか見当もつかないと完全否定されるだけで、仕方なく男一人でブラブラしていてもなんとか格好がつ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-6

グレート・ギャッツビー 第三章-6 オレは正式に招待されていた。コマドリの卵のような青色の制服を着た運転手が、土曜の朝早くオレの庭の芝生を横切って主人からの驚くような正式なカードを持ってやって来た。その晩の「小宴」に出席していただければ大変光…