夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

ポリアンナ

少女ポリアンナ 第32章 ポリアンナからの手紙

ポリーおば様とトムおじ様へああ、わたしは・・・わたしは、歩けるのよ!今日、ベッドから窓まで歩けました!6歩でした。でも、自分の足で歩けるなんて、なんて気持ちいいんでしょう! お医者様たちはみんな立ってニコニコしていて、看護婦さんたちはそばで…

ポリアンナ 第31章 新しいおじさん

ポリアンナが天井に映る色とりどりの影が躍るのを見ていたとき、ウォレン先生が病室に入ってきました。そして、その後ろには、背の高い肩幅の広い男性がいたのです。 「チルトン先生!ああ、チルトン先生、お会いできるなんて、ほんとにうれしいわ!」ポリア…

ポリアンナ 第30章 ジミーが作ったきっかけ

「ジミー・ビーンが奥様に会いたいと来ています」ナンシーが戸口のところでいいました。 「わたしに?」ポリーはただ驚いて聞き返しました。 「ポリアンナに会いに来たんじゃないの?もし、その子が会いたいのなら、今日は、数分だけ会わせてあげてもいいわ…

ポリアンナ 第29章 開いた窓から

一日一日と短い冬の日が暮れていきました。でも・・・ポリアンナにとっては短い一日ではありませんでした。少女には、一日がとても長く、時には苦しみにあふれているように感じられました。しかし、このごろは、何があろうとも明るい顔をしようと決めていま…

ポリアンナ 第28章 ゲームとその参加者たち

ジョン・ペンデルトンが二度目に訪れてからほどなくして、ある日の午後、ミリー・スノウがやってきました。ミリー・スノウがハリントン屋敷を訪れるのは初めてのことでした。ポリーが客間にやってきたとき、ミリーは赤くなって、とても恥ずかしそうにしてい…

ポリアンナ 第27章 二人の訪問者

ミード医師の診断をジョン・ペンデルトンに伝えるのはナンシーの役目になりました。ポリーは、ペンデルトンが訪れた際に、自分のいった事を忘れてはいませんでした。自分が行こうか、それとも手紙を書こうか、悩んでいましたが、どちらもいい考えとは思えま…

ポリアンナ 第26章 開いてしまったドア

専門医のミード先生が初めてやってきたのは、それから一週間ほどたった頃でした。背が高く、肩幅が広く、灰色の優しい目をして、朗らかな笑みを浮かべていました。ポリアンナはすぐに医者が好きになり、こういいました。 「先生は、わたしの先生にそっくりだ…

ポリアンナ 第25章 待ちぼうけ

ジョン・ペンデルトンがハリントン屋敷を訪れた日、ポリーは、専門医の来訪をポリアンナに伝えようと決意を固めていました。 「ポリアンナ、わたしのいい子」優しく呼びかけました。 「ウォレン先生以外に、他のお医者様を呼ぶことに決めました。新しいお医…

少女ポリアンナ 第24章 ジョン・ペンデルトン

ポリアンナは翌日もその次の日も学校には行けませんでした。時々、意識を完全に回復すると、矢継ぎ早に質問していましたが、どれだけ日がたっているのかわからなくなっていました。 ポリアンナはうつうつとしたままで、何もわかっていませんでした。やっと一…

ポリアンナ 第23章 事故

スノウ夫人に頼まれて、ポリアンナはある日、チルトン先生のオフィスに、スノウ夫人の薬の名前を聞きに行きました。スノウ夫人はうっかりして忘れてしまったのです。 これまでチルトン先生のオフィスの中を見る機会がなく、これが初めてでした。 「お宅にお…

ポリアンナ 第22章 説教とたきぎの箱

ポリアンナがジョン・ペンデルトンにジミー・ビーンのことを話した午後、ポール・フォード牧師は、丘に登って、ペンデルトンの森に入るところでした。神のおつくりになった戸外の静けさと自然美の中で、神の子らがつくりだす騒ぎが静まることを祈るためでし…

ポリアンナ 第21章 質問への答え

嵐が近づいてくるかのように、空が急に暗くなってきたので、ジョン・ペンデルトンの家を出たポリアンナは急いで丘を下りました。家まで半分ほどの道のりになったとき、傘を持ったナンシーに会いました。でもそのときには、もう雲は流れていってしまって、す…

少女パレアナ(ポリアンナ)からの手紙 

わたしは知っているの 天国のお父様とお母様が見守ってくださることをわたしは知っているの 悲しいときも太陽が輝いていることを 地球が回っていることを 木々が手をさしのべてくれることを 花がほほえんでくれることを 星がまたたいてくれることをそしてわ…

ポリアンナ 第20章 もっと驚くこと

日曜の朝、ポリアンナはいつものように教会と日曜学校に出かけました。日曜の午後は、ナンシーとよく散歩にでました。ジョン・ペンデルトンのところへは、土曜日の午後に行くようにしていました。でも、日曜学校の帰り道、チルトン先生の馬車が近寄ってきて…

ポリアンナ 第19章 驚き

ポリアンナは9月から学校に行き始めました。入学試験で、彼女は年の割りによくできることがわかり、同い年の男の子や女の子と同じクラスになれて、すぐにうれしく思いました。 ポリアンナにとっては、学校はある意味で驚きでした。そして、学校のほうでも、…

ポリアンナ 第18章 ガラス玉のプリズム

八月の暑い日々の中、ポリアンナはペンデルトンの丘にあるお屋敷に度々出かけていきました。でも、訪問したかいがあったとはなかなか思えませんでした。ペンデルトンが、ポリアンナに来て欲しくなかったわけではないのです。彼自身が、しょっちゅう、迎えを…

ポリアンナ 第17章 本みたいな話―ジョン・ペンデルトンが笑顔を見せる

「これは、これは、お嬢さん、今日、またわたしに会いに来ていただけるとは、大変に寛大なことですな」 「あら、ペンデルトンさん。わたしは、来られて本当にうれしいわ。それに、来たくないって思う理由もないわ」 「おや、おや、でも、君がこの間、親切に…

ポリアンナ 第16章 赤いバラとレースのショール

ペンデルトンさんの家を訪ねてから一週間後の雨の日のことでした。お昼過ぎに、ティモシーの馬車に乗って、ポリーは婦人会の会合に出席するために出かけていきました。3時に帰ってきたとき、ポリーのほおはピンクで、髪は、ピンがぬけおちて、湿った風に吹…

ポリアンナ 第15章 チルトン先生

ジョン・ペンデルトンさんのお宅を二回目に訪問したとき、大きな石の邸宅がポリアンナにはとても違って見えました。窓は開け放たれており、年取った女性が、裏庭で洗濯物をほしていました。車寄せには医者の馬車がとまっていました。前回と同じように勝手口…

ポリアンナ 第14章 ゼリーの行方

ジョン・ペンデルトンさんが事故にあった晩、ポリアンナは夕食に少し遅れました。でも、とがめられることはありませんでした。ナンシーが玄関で出迎えてくれました。 「ああ、ああ、あたしが、じっと見はっとかなきゃいけないようじゃ、困るねえ」やっとほっ…

ポリアンナ 第13章 ペンデルトンの森

ポリアンナは、礼拝堂を出ると、家のほうに向かって歩いていくのをやめて、ペンデルトンの丘に行くことにしました。大変な一日で、めずらしくお裁縫やお料理のレッスンがない「休日」でしたから、ポリアンナには時間がたっぷりありました。ペンデルトンの森…

ポリアンナ 第12章 婦人会の集まりで

婦人会のある日の午後、ハリントン屋敷では、昼食が静かに始まっていました。ポリアンナはなんとかしてしゃべろうとしていましたが、うまくいきませんでした。どうしても口が滑って「うれしい」といってしまい、きまずくなって顔を真っ赤にしていました。こ…

少女・パレアナ(ポリアンナ)にみる他人を変える力と人間関係改善への知恵

少女パレアナ(ポリアンナ)はフィクションであり、時代も現代とは大きく違う。しかし、人間関係が希薄になっている現代こそ、学べることもあると思う。ところで、他人を変えることはできるだろうか。できるという人もいるかもしれないが、多くの人は「でき…

ポリアンナ 第11章 ジミーとの出会い

八月が来ました。八月は、驚きと変化の連続でした。しかし、ナンシーはどれにも大して驚きはしませんでした。ポリアンナが来てからというもの、ナンシーは驚きと変化を心待ちにするようになっていたのです。ことの起こりは、子猫でした。 ポリアンナは、離れ…

ポリアンナ 第10章 スノウ夫人の驚き

ポリアンナがスノウ夫人を二回目に訪れたとき、病人は、暗い部屋に寝ていました。 「ポリーさんのところの女の子が来ました」ミリーが疲れた様子で告げると、ポリアンナは病人と二人で部屋に取り残されました。「あぁ、おまえさんかい?」ベッドから不機嫌な…

ポリアンナ 第9章 あの人の秘密

次に、ポリアンナがあの紳士に会ったのは、雨の日でした。それでも、ポリアンナは明るい笑顔であいさつしました。 「今日は、そんなにいい日っていえませんよね」いたずらっぽくいいました。 「毎日が雨じゃなくてよかったって思います!」 今回は、紳士は振…

ポリアンナ 第8章 ポリアンナの家庭訪問

ハリントン宅の食客が落ち着くまでに、それほど時間はかかりませんでした。もっとも、ポリーが当初指示したとおりではありませんでしたが。ポリアンナは、裁縫をし、音楽の練習をし、本を声を出して読み、台所でお料理を習っていたのは確かです。でも、ポリ…

ポリアンナ 第7章 ポリアンナと罰

ポリーとポリアンナは、屋敷から半マイルはなれたところにある大きなお店を四、五件回るために、一時半にティモシーが操る馬車に乗りました。ポリアンナに合う新しい洋服を仕立てることは、誰にとってもそれなりに楽しいことでした。火山口の薄いふちをふら…

少女・パレアナ(ポリアンナ)に思うこと

エレノア・ポーターの「少女・パレアナ」(ポリアンナ)の翻訳に挑戦することにした。わりと単純な文章と思ったのだけど、さすが20世紀初頭の作家、よく見れば単語が豊富。 会話が多いので、「言う」という表現に気を使っている。 murmured, announded, tr…

ポリアンナ 第6章 義務って何

着いてはじめての朝、目覚めたときには、7時近くになっていました。窓は南と西を向いていましたので、朝日は見えませんでしたが、窓から澄み切った青空が見えて、その日が晴天だということがわかりました。小さな屋根裏部屋は涼しくなっており、甘くてさわ…