夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

ポリアンナ

ポリアンナ 第5章 ゲーム

「ポリアンナお嬢様、世界に誓って、いったい全体どれだけあたしを怖がらせれば気がすむんですかね」 ナンシーは息をはずませて大岩に向かって歩いていくと、ポリアンナは名残惜しそうに滑り降りてきたところでした。 「怖がらせちゃったの?まぁ、ほんとに…

ポリアンナ 第4章 屋根裏の小部屋

ポリーは、立って姪を迎え入れようとはしませんでした。 読んでいた本から目を上げると、ナンシーと少女が応接間の入り口にやっと姿を現したとき、指の一本一本に「義務」と大きく書いてあるような手を伸ばして握手をもとめました。「ごきんげんいかが、ポリ…

ポリアンナ 第3章 ポリアンナの到着

電報によると、ポリアンナがベルディングスビルに到着する日は6月25日の4時で、いよいよ翌日に迫ってきました。ポリーは顔をしかめて電報を読み、階段をのぼって屋根裏部屋に行ってみました。顔もしかめっつらでしたが、内心でもいまいましく思っていま…

ポリアンナ 第2章 トムじいやとナンシー

屋根裏の小部屋で、ナンシーは隅々にまで目を配りながら、床を掃き、ほこりをはらうことに忙しく働いていました。ほこりをただはらうだけではなく、仕事を元気よくこなしていけば、気が休まったのです。ナンシーは、女主人にはびくびくしていますが、根っか…

ポリアンナ 第1章 ポリーおば様 エレナ・ポーター作 SoRaJune 訳

ポリアンナ エレナ・ポーター作 SoRaJune 訳ある6月の朝、ポリー・ハリントンが、急ぎ足で台所に入ってきました。ポリーは普段、決して急がないのです。内心、自分の落ち着いたものごしを誇りにしていました。でも、今日は、いつになく、急いでいたのでした…