夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-25

グレート・ギャッツビー 第三章-25 驚きで野次馬が一瞬だけ鎮まった。 「自殺でもしたかったのか?」 「車輪が一個もげるだけでラッキーだったな!ド下手運転で、運転しようともしなかったんだからな!」 「状況がわかっとらんな!」 加害者が言明しだした。…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-24

グレート・ギャッツビー 第三章-24 長いダスターコートを着た男が、事故車から降り、今や道路の真ん中に立って、車からタイヤへ、タイヤからの見物人へと、愉快そうでありながら困惑した様子でしげしげと見ていた。 「ほれ」 彼は言った。 「タイヤが溝には…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-23

グレート・ギャッツビー 第三章-23 でも、階段を降りかけた時、まだ夜は終わったと言い難いことに気づいた。玄関口から50フィートのところに、たくさんのヘッドライトが奇妙で騒々しい光景を照らしていた。ギャッツビー宅の車道から2分も行かないところで道…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-22 ギャッツビー の秘密

グレート・ギャッツビー 第三章-22 ホールで自分の帽子が来るのを待っていると、書斎の扉が開いてジョーダン・ベイカーとギャッツビーが揃って出てきた。彼はジョーダンに向かって何か熱心に言いかけたが、何人かが別れの挨拶を告げに近寄ってきたため、彼の…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-21 怒ったダイヤモンド💎?

グレート・ギャッツビー 第三章-21 オレは辺りを見回した。残りの女たちのほとんどは、夫と思われる男たちとケンカの最中だった。ジョーダンの連れでさえも、イーストエッグから来た四人組だが、意見の違いで離れ離れになっていた。一人の男は若い女優に鼻の…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-20

グレート・ギャッツビー 第三章-20 大広間は人で一杯だった。黄色ドレスの女の子の一人がピアノを弾いていて、脇には、有名なコーラスグループにいる背の高い赤毛の若い女が歌を歌っていた。彼女はかなりシャンペンを飲んでいて、その晩は悲しい事ばかりとす…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-19

グレート・ギャッツビー 第三章-19 「失礼します」 ギャッツビー の執事が突然オレたちの前に現れた。 「ベイカー様ですよね?」 彼が聞いてきた。 「失礼ですが、主人があなた様に個人的に会いたいと申しております」 「わたしにですって?」 彼女は驚きの…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-18

グレート・ギャッツビー 第三章-18 オレはトストフ氏の曲にも上の空だった。だって、オレの視線は階段に一人立ち、一つ一つのグループを温かな目で見守るギャッツビーに釘付けだったから。日に焼けた皮膚は顔の上で精悍に引き締まり、髪は毎日刈っているかの…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-17

グレート・ギャッツビー 第三章-17 「とにかく彼は大きなパーティーを主催するの」 都会的なよそよそしさをたもったまま、ジョーダンは話題を変えた。 「それにわたしは大きなパーティーが好き。人との距離感が適当にあって仲良くなれるわ。小さいパーティー…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-16

グレート・ギャッツビー 第三章-16 ギャッツビー 氏が名乗るのと同時ぐらいに、執事が急いでやって来て、シカゴから電話がかかっていると告げた。 彼はみんなに向かって小さく一礼した。 「ねぇ君、何か必要だったらいつでも言ってください」 彼はオレに言っ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-15 謎の男登場😱

グレート・ギャッツビー 第三章-15 一瞬、男は訳がわからないというようにオレを見た。 「僕がギャッツビー ですが」 出し抜けにそう言った。 「え、そうなんですか!それは失礼しました!」 オレは叫んだ。 「君が知ってると思ったんですよ。これじゃあ、い…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-14

グレート・ギャッツビー 第三章-14 オレはまだジョーダン・ベイカーとつるんでいた。オレたちは、オレと同世代ぐらいの男と、ちょっとしたことで転げ落ちるほど笑う若い女の子と一緒に座った。もうすっかり楽しい気分になっていた。フィンガーボールほどの大…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-13

グレート・ギャッツビー 第三章-13 「誰が連れて来たんだね?」 男はしつこく尋ねた。 「それとも自分らで来たのかね?ワシは連れてこられた。ほとんどの人間は連れてこられたのじゃよ」 ジョーダンはそれには答えず、用心深く微笑んでみせた。 「ワシはルー…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-12

グレート・ギャッツビー 第三章-12 オレたちがいぶかしげな顔をしたので、これ幸いとばかりに急いで本棚に歩み寄りストッダード世界紀行第1巻を持って来た。 「ほらごらん!」勝ち誇ったように叫んだ。 「この本は正真正銘の印刷物だ。アイツはベラスコ(リア…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-11

グレート・ギャッツビー 第三章-11 「行きましょうよ」 退屈で落ち着かない三十分が過ぎてジョーダンがささやいた。 「ここは息がつまるわ」 オレたちは、主人に会いにいくことを口実に立ち上がった。オレがまだ会ったことがないので気にしているとジョーダ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-10

グレート・ギャッツビー 第三章-10 彼女は目を細めて体を震わせた。ルシルも震えた。オレたちは周りを見渡してギャッツビー がいないか探した。うわさ話なんか普段はしないような連中がこうしてコソコソ話し合ってるんだから、ギャッツビーという男がいかに…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-9

グレート・ギャッツビー 第三章-9 「ギャッツビー よ。誰かが言ったんだけど。。。」 二人の女の子とジョーダンが秘密をささやくみたいに身を乗り出した。 「誰かが言ったんだけど、昔、人を殺したんだって」 オレたちは盛り上がった。マンブル氏たちも身を…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-8

グレート・ギャッツビー 第三章-8 「わたしたちのこと知らないでしょ」 黄色のドレスの一人が言った。 「でも、1ヶ月前に会ったのよ」 「あれから髪を染めたのね」 ジョーダンが答えたので、オレはびっくりした。でも、彼女たちが自然に歩き去ったので、ジョ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-7

グレート・ギャッツビー 第三章-7 到着するとすぐにホストを探そうとした。だけど、そこにいた数人に主人がどこにいるかを尋ねても、驚いたようにどこにいるのか見当もつかないと完全否定されるだけで、仕方なく男一人でブラブラしていてもなんとか格好がつ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-6

グレート・ギャッツビー 第三章-6 オレは正式に招待されていた。コマドリの卵のような青色の制服を着た運転手が、土曜の朝早くオレの庭の芝生を横切って主人からの驚くような正式なカードを持ってやって来た。その晩の「小宴」に出席していただければ大変光…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-5

グレート・ギャッツビー 第三章-5 突然、ジプシー女がオパール色の衣装をなびかせて、カクテルをひったくり、勢いよく飲み干して景気づけすると、フリスコダンスのように腕を振り回しながらキャンバス生地を張ったステージに一人で上がっていった。一瞬の静…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-4

グレート・ギャッツビー 第三章-4 地球が傾きながら太陽から離れるに従って、灯りは輝きを増し、オーケストラは黄色いカクテル音楽を奏で、人声のオペラは一層高くなる。1分ごとに笑い声は出やすくなり、陽気な言葉に誘われて惜しげもなく辺りに撒き散らされ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-3

グレート・ギャッツビー 第三章-3 7時前にはオーケストラが到着した。5人楽団などのショボいんじゃなくて、オーボエ、トロンボーン、サキソフォン、各種の弦楽器、コルネット、ピッコロ、大小のドラムなどの楽隊席をいっぱいに塞ぐフルセットだ。最後の泳ぎ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-2 オードブルにカクテルはいかが?

グレート・ギャッツビー 第三章-2 毎週金曜日、5箱のオレンジとレモンがニューヨークの果物屋から届き、月曜日には、同じオレンジとレモンが半分に割られて皮だけになって裏口に積み上げられた。台所にはジュースマシンがあって、執事がボタンを親指で200回…

グレート・ギャッツビー 対訳 第三章-1 夏だ!ビーチだ!パーティーだ!

グレート・ギャッツビー 第三章-1 夏の夜は、隣家から音楽が絶えなかった。彼の青々とした庭では、飛び回る蛾のように男や女が、ささやき声をかき分け、シャンペンを掲げ、星々が照らす中を出たり入ったりしていた。午後の高潮時には、飛び込み台から客達が…