夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

グレート・ギャッツビー 対訳 第二章-1

グレート・ギャッツビー 第二章-1 ウエストエッグからニューヨークに向かうちょうど真ん中辺で、4分の1マイルほどの区間を高速道路が線路と合流して走っていて、まるで荒地を避けているように見えるところがある。この地域は灰の谷と呼ばれている。そこでは…

グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-50 暗闇に手を伸ばす男

グレート・ギャッツビー 第一章-50 道路脇のレストランの屋根や、自動車修理店の入り口を見ると真夏であることが見てとれた。修理店の表には真新しい赤いガソリンポンプが光っていた。ウエストエッグに着くと、車を車庫の中に停めて、庭に置きっぱなしになっ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-49

グレート・ギャッツビー 第一章-49 オレは何を喋ってたか覚えてないと軽く言っておいた。それからすぐに家に帰ることにした。彼らは玄関口まで来て、明るい四角形の光の下に並んで立っていた。 オレがエンジンをかけると、「待って!」とデイジーが急に叫ん…

グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-48

グレート・ギャッツビー 第一章-48 「おやすみなさい」 ベイカー嬢は静かに言った。 「8時に起こしてくれるでしょ?」 「あなたが起きられたらね」 「起きるわよ。キャラウエイさん、おやすみなさい。また会えるといいわね」 「絶対に会えるわよ」 デイジー…

グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-47

グレート・ギャッツビー 第一章-47 紅い部屋の中は明るかった。トムとベイカー嬢は長いソファの両端に座り、ベイカー嬢はサタデー・イブニングポストをトムに読んで聞かせているところだった。声は小さくて棒読みだったけど滑らかだった。ランプの灯りはトム…

グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-46

グレート・ギャッツビー 第一章-46 「もう、なんでも喋れて、食べられて、なんでもできるんだよね?」 「うん」 彼女はオレを見たけど、心ここにあらずと言う感じだった。 「ねぇ、ニック。娘が生まれた時、わたしがなんて言ったか。。。知りたい?」 「うん…

グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-45 かわいいデイジー🌼

グレート・ギャッツビー 第一章-45 突然家から電話が鳴るのが聞こえ、デイジーはトムにはっきりと首を横に振ってみせ、馬小屋の話だけでなくそれまでの話題のすべてが煙になって消えた。途切れ途切れになった記憶の中で、夕食の最後の5分間で覚えてることと…

グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-44

グレート・ギャッツビー 第一章-44 「夕食の席であなたに会えてうれしいの。何かを思い出すわね。そう、バラよ!絶対にバラの花!そうよね?」 デイジーは、ベイカー嬢の同意を得ようと振り返った。 「絶対にバラの花でしょ?」 これはありっこない。オレはバ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-43

グレート・ギャッツビー 第一章-43 一瞬、夕暮れの最後の光がデイジーの輝く顔をロマンチックに照らし出した。デイジーの声にオレは息をひそめて前屈みになっており、やがて光は薄くなっていった。夕暮れ時、楽しかった道端を離れるのをグズグズする子どもた…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-42

グレート・ギャッツビー 第一章-42 「家の秘密を教えてあげる」 デイジーが熱心にささやいた。 「あの執事の鼻のことなの。聞きたい?」 「そのために今晩ここに来たんだよ」 「あのね、あの人はずっと執事ってわけじゃないの。以前はニューヨークのあるお屋…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-41

グレート・ギャッツビー 第一章-41 力の入れ方が何か哀れだった。以前よりももっと自己満足の度合いが強くなっていたのに、もうそれにも飽きたらないようだった。その直後に家の中で電話が鳴り、執事がベランダを離れると、デイジーが待ってましたとばかりに…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-40

グレート・ギャッツビー 第一章-40 「とにかく、オレが読んでいる本は科学的にも確かなものなんだ」 トムがイライラとデイジーを見据えて言い切った。 「この本の作者が大変な努力で書き上げたんだ。世界を仕切っている白人がしっかりしていかないと、他の人…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-39

グレート・ギャッツビー 第一章-39 「いい本だ。みんな読むべきだ。要するに、白人は将来を見据えていかないと、完全に沈んでしまうってことだ。科学的な説だ。証明されている」 「トムったらのめり込んでるのよ」 デイジーが興味のない悲しそうな調子で言っ…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-38

グレート・ギャッツビー 第一章-38 「デイジー、君としゃべっていると自分が文明に乗り遅れてる田舎者って気になるよ」 コルクの香りがするけどすばらしいクラレット・ワインの2杯目を飲んだ力を借りて言ってみた。 「作物の出来高とか田舎の話をしてみたら…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-37

グレート・ギャッツビー 第一章-37 時々、デイジーとベイカー嬢が同時に話し出すことがあった。遠慮がちに、冗談みたいな取り留めのない話。でも、ただのお喋りでもなく、彼女たちの着ている白いドレスやなんの感情もない目のように冷たく冴えていた。彼女た…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-36

グレート・ギャッツビー 第一章-36 「トム、あなたがやったのよ」 デイジーは責めるように声を上げた。 「わざとじゃなかったんでしょうけど、やったのはあなたよ!乱暴な男と結婚しちゃったもんだわ。バカでかい男の典型みたいな。。。」 「バカでかいはや…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-35

グレート・ギャッツビー 第一章-35 「なんでキャンドルがいるのよ?」 デイジーがふくれてみせた。そしてキャンドルの火をあおいで消した。 「あと2週間で一年で一番長い日がくるのよ」 デイジーが輝く顔をこちらに向けた。 「一年で一番長い日を待ちながら…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-34

グレート・ギャッツビー 第一章-34 ギャッツビーはオレの隣人だと答える前に夕飯の時間が告げられた。トムはひき締まった腕でオレの腕を掴み、チェッカーのコマを進めるように有無をいわせず部屋から連れ出した。 二人の女は手を腰に添えて、ほっそりした体…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-33

グレート・ギャッツビー 第一章-33 「君がかい?」 トムはグラスを取ると、底に残った最後の一滴を飲み干すような勢いでグラスを傾けた。 「君がどうやって成し遂げてきたかなんて想像できないな」 オレはベイカー嬢を見ながら、彼女が成し遂げたことって何…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-32

グレート・ギャッツビー 第一章-32 ここで突然ベイカー嬢が「そうね」と声を上げたのでビクッとした。オレが部屋に来てから彼女がしゃべったのはこれが初めて。これにはオレだけじゃなくて彼女も驚いたようで、あくびをすると素早く器用に身体を起こして歩き…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-31

グレート・ギャッツビー 第一章-31 東部に来るときにシカゴに1日立ち寄り、多くの人がよろしくと言っていたことを話した。 「わたしが居なくなって寂しいのかな」 デイジーはうれしそうに叫んだ。 「街中が沈んでるよ。悲しみを表すために車という車の左側の…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-30 最高のメロディー🌟🎶🌺

グレート・ギャッツビー 第一章-30 デイジーが低いドキドキするような声で質問してくるんで、オレは彼女の方に目をむけた。話し声はもう二度と演奏されない音符のように鼓膜を揺らした。彼女の顔は悲しそうだけど、目は輝き口元は明るく情熱的で美しかった。…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-29

グレート・ギャッツビー 第一章-29 デイジーは、さも気の利いたことを言ったかのようにまた笑った。オレの手を取って顔を覗き込みながら、この世で一番会いたい人に会ったと言わんばかりだった。それが彼女のやり方だ。アゴでバランスをとっている女はベイカ…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-28

グレート・ギャッツビー 第一章-28 女のうち年下の方は知らない顔だった。ソファベッドに長々と横たわり、じっとしていた。アゴを少し持ち上げて、落ちそうな何かを落とさないようにバランスをとっているように見えた。オレを目の隅で捉えていたとしてもそん…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-27

グレート・ギャッツビー 第一章-27 部屋にある動かないものと言ったら巨大なソファのみで、重りをつけた風船みたいに二人の若い女が浮いていた。二人とも白いドレスを着ていたが、ドレスもたった今、屋敷の周りを飛び回ってきましたという風に、シワがよりぱ…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-26

グレート・ギャッツビー 第一章-26 天井の高い廊下を抜け、明るいバラ色の部屋に入った。両側は華奢なフランス風の窓に囲まれていた。窓は少し開いていて、家に入ってきそうな勢いで伸びている芝生を背景に白く輝いていた。風が部屋を通り抜けていた。カーテ…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-25

グレート・ギャッツビー 第一章-25 オレたちは日の当たる玄関先で少しの間話をした。 目を落ち着きなく光らせながらトムが言った。 「ここはいい場所だ」 トムは片腕でオレの向きを変えて、大きくて平べったい手を庭の方へ振ってみせた。低い所にはイタリア…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳  第一章-24

グレート・ギャッツビー 第一章-24 しゃがれたやや甲高い声で喋り、気難しそうな男に見えた。自分が気に入っている連中を前にしても、親が子供に対するような上から目線な感じが少しあって、イエール大学では彼を毛嫌いするヤツが結構いたはずだ。 トムはま…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー  対訳 第一章-23 😰🥶😱😨

グレート・ギャッツビー 第一章-23 トムは大学時代から比べるとだいぶ変わっていた。今やがっしりした金髪の30男で、気難しそうな口元をして偉そうな態度をとっていた。傲慢さが表れた目が顔を印象づけ、いつも猪突猛進に進んでいくという印象を与えていた。…

英語原文に挑戦! グレート・ギャッツビー 対訳 第一章-22 大邸宅潜入😊🤫😊

グレート・ギャッツビー 第一章-22 なんでこの夫婦が東部に来たのかは知らない。特に理由もないままに一年フランスで過ごした後、富豪が集まってポロ試合をするような所をフラフラ渡り歩いていた。電話では、ここに永住するのよとデイジーは言ってたけど、オ…