夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-4

グレート・ギャッツビー 第七章-4 「お昼ごはんの前にお洋服を着替えたの」と子供がデイジーに振り返って熱心に言った。 「ママが皆さんにあなたを見ていただきたかったからなの」そう言ってデイジーは、白い小さな首筋に顔をよせた。「かわいいわたしの夢。…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-3

グレート・ギャッツビー 第七章-3 ギャッツビーは真紅のカーペットの中央に立ち、うっとりと辺りを見つめていた。デイジーが彼を見て、甘く刺激的な笑い声をたてると、胸元からかすかにパウダーが舞い上がった。 「噂によると」 ジョーダンがささやいた。「…

グレート・ギャッツビー 対訳  第七章-2 最高に暑い日はドラマが似合う

グレート・ギャッツビー 第七章-2 次の日は、その夏最後の一番暑い日だった。列車がトンネルを抜けて陽光の中に出てくると、ナショナル・ビスケット社(ナビスコ)の正午を知らせる熱い汽笛だけが、煮えたぎる静けさを引き裂いた。列車の麦わらの座席カバーは…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-1

グレート・ギャッツビー 第七章-1 ギャッツビーへの好奇心が大きくふくらんでいた頃、土曜日の晩なのに、彼の家の明かりが灯らなかった。始まりがはっきりしないのと同じく、彼のトリマルキオ(下劣な手を使って財を築いた架空のローマ時代の富豪)としてのキ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第六章-18 失われた言葉

グレート・ギャッツビー 第六章-18 そう言って乱暴に辺りを見渡した。自分の家の影に過去が隠れていて、すぐに手が届くとでもいうように。 「すべてを元に戻すつもりだ」と言って決意したようにうなずいた。「彼女も今にわかってくれる」 彼は過去について色…

グレート・ギャッツビー 対訳 第六章-17 焦燥

Curtesy of Unsplash グレート・ギャッツビー 第六章-17 「彼女との距離が遠く感じる。わかってもらえそうにない」 「ダンスのこと?」 「ダンス?」彼は指を一回パチンと鳴らす事で、踊ったことすべてを帳消しにしてしまった。「君、ダンスなんて問題外だよ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第六章-16 沈黙

Curtesy of Unsplash グレート・ギャッツビー 第六章-16 その夜は遅くまでいた。ギャッツビーから手が空くまで待っていて欲しいと頼まれて、水を浴びないと気が済まない連中が、冷たい水につかって黒い浜辺からさっそうとあがってきて、頭上の客室の明かりが…

映画「華麗なるギャツビー」から、ギャッツビーの過去

youtu.be ギャッツビーの過去が明らかになったところで、Youtube から2013年の映画のハイライトを。 トビー・マグワイアの英語がゆっくりで聞き取りやすい。 以下は大まかな日本語訳です。 ギャッツビーがデイジーを抱き寄せるだけで十分だったら良かったの…

ワルツを聴きながら

youtu.be Three O'Clock in the Morning - Wikipedia グレート・ギャッツビー 6章で紹介される「夜明けの3時」(Three O'clock in the Morning) というワルツ。 最初のイントロで、聞いたことのある節が流れて、あ、家に帰ろう。。。と思ってしまった。 1919…

グレート・ギャッツビー 対訳 第六章-15 麗人の登場

グレート・ギャッツビー 第六章-15 「招待されてない人がたくさん来てる」と彼女は不意に言った。「あの娘も招待されてなかった。無理やり押しかけて来てるだけなのに、あの人が優しすぎて追い返したりできないのよ」 「あいつが誰で何をしているのか知りた…

グレート・ギャッツビー 対訳 第六章-14 歌うデイジー

Curtesy of Unsplash グレート・ギャッツビー 第六章-14 彼らが車を待っている間、一緒に正面の階段に座っていた。玄関前は暗かった。明るいドアから10フィート四方の光が柔らかい黒い朝の中に漏れていた。時折、二階の化粧室のブラインドの上で人影が動き、…

グレート・ギャッツビー 対訳 第六章-13 ウエストエッグは下品なの?

グレート・ギャッツビー 第六章-13 そんな感じだった。ほぼ最後に覚えているのは、デイジーと一緒に立って、監督とスター女優を眺めていたことだった。二人はまだ白いプラムの木の下でお互いの顔が触れそうなくらい近づけていて、その隙間から月の薄淡い光が…

グレート・ギャッツビー 対訳 第六章-12

グレート・ギャッツビー 第六章-12 オレたちはほろ酔い気分のヤツらばかりのテーブルにいた。オレがいけなかったんだ--ギャッツビーは電話をかけに行ったし、ほんの2週間前までは一緒にいて楽しかった連中のはずだった。でも、楽しかったはずのものが、今で…

グレート・ギャッツビー 対訳 第六章-11

グレート・ギャッツビー 第六章-11 でも、その声音がギャッツビーを喜ばせたようで、トムはその夜はずっと「ポロの選手」のままだった。 「こんなにたくさんの有名人に会ったことがないわ!」 デイジーは叫んだ。「あの人が気に入ったわ。なんて名前の人だっ…

グレート・ギャッツビー 第六章-10 恋の駆け引き

グレート・ギャッツビー 第六章-10 彼らは黄昏時に到着した。何百人ものきらびやかな人々の間を歩く間、デイジーは喉の奥でささやくように言った。 「興奮しちゃう。ねぇニック、今夜わたしにキスしたくなったら、いつでも知らせてね。喜んで応じるから。わ…

グレート・ギャッツビー 第六章-9

Unsplashより グレート・ギャッツビー 第六章-9 トムは明らかにデイジーが一人で動き回ることに動揺したようで、次の土曜日の夜にデイジーと一緒にギャッツビーのパーティーにやって来た。彼の存在がその夜に独特の圧迫感を与えたのだろうか。オレの記憶の中…

グレート・ギャッツビー 第六章-8 おいてけぼり。。。😱😭😱

Unsplashより グレート・ギャッツビー 第六章-8 これにはオレも含まれていた。スローン氏が立ち上がった。「もう行こう」と言ったんだけど、言った相手は彼女だけだった。 「本気なのよ」彼女は言い張った。「あなたがたも一緒に来てくれればうれしいわ。余…

有名なギャッツビーの口癖「オールド・スポート」

「オールド・スポート」、この呼びかけがカッコいい。 youtu.be iMDB によるとバズ・ラーマン監督の映画では55回言ってるそう。 The Great Gatsby (2013) - Trivia - IMDb このビデオを作った方、根気が素晴らしい。 村上春樹氏はこのオールド・スポートを自…

グレート・ギャッツビー 第六章-7 おもてなしは丁寧に軽やかに

グレート・ギャッツビー 第六章-7 「どうぞおかけになって。タバコか葉巻をどうぞ」 呼び鈴を鳴らしながら素早く部屋の周りを歩き回った。 「すぐに飲み物を用意しますから」 彼はトムが来たことにかなり動揺していた。でも、訪問客に何かを出すまでは、いず…

グレート・ギャッツビー 第六章-6 トムも来るの?

グレート・ギャッツビー 第六章-6 彼がこのことを話してくれたのはずっと後になってから。彼のご先祖についての最初の野暮な噂を打ち破るためにここに書いてみた。噂は真実とは程遠かったし。しかも、オレが混乱していた時に話してくれたんだ。彼の話を全て…

グレート・ギャッツビー 第六章-5

グレート・ギャッツビー 第六章-5 ギャッツビーの寝室に飾られていた彼の写真を覚えている。白髪まじりの赤ら顔の男で、表情の無い空虚な顔をしていた。開拓時代の放蕩者で、アメリカ史上のある時期に、辺境の売春宿や酒場の野蛮な暴力を東海岸に持ち帰った…

グレート・ギャッツビー 第六章-4 ボートの上で

グレート・ギャッツビー 第六章-4 オールを漕ぐ手を休め、レールで囲まれたデッキを見上げると、若きギャッツにとって、ヨットでの生活は世界中の美と華やかさを象徴したものだった。彼はコーディに微笑んだのだろう--おそらく自分が微笑むと人に好かれるこ…

グレート・ギャッツビー 第六章-3 コーディの顛末

グレート・ギャッツビー 第六章-3 その数カ月前に、将来の栄光へと誘う本能に導かれて、ミネソタ州南部にあるルーテル派の小さなセント・オラフ大学に入学した。彼はそこに2週間しかいなかった。運命の太鼓の音にも、運命そのものにも、許しがたい程無関心な…

グレート・ギャッツビー 第六章-3 悪夢と陶酔

グレート・ギャッツビー 第六章-3 1年以上もの間、彼はスペリオル湖の南岸でアサリ掘りやサケ漁など、食べ物と寝床を得るために、ありとあらゆる仕事をした。日に焼けて鍛えられた体は、時に激しく、時にのんびりした試練の日々を自然にこなしていった。早く…

グレート・ギャッツビー 対訳  第六章-2 ギャッツビーの原点

グレート・ギャッツビー 第六章-2 ジェームズ・ギャッツが彼の本名、少なくとも法的には彼の名前だった。17歳の時に改名したのが、輝かしいキャリアに踏み出した時で、ダン・コーディが悪名高いスペリオル湖の浅瀬にいかりを下ろしたのを見た瞬間だった。そ…

グレート・ギャッツビー 第六章-1 ギャッツビー がマスコミに登場?🙄

グレート・ギャッツビー 第六章-1 ちょうどこの頃のことだ。ある朝ニューヨークから野心家の若い記者がギャッツビーの家にやってきて、何かコメントはないかと尋ねてきたんだ。 「何についてですか?」 ギャッツビーは丁寧に聞き返した。 「ですから何かおっ…

グレート・ギャッツビー 第五章-11 ニック、それでいいの?😱😱😱

グレート・ギャッツビー 第五章-11 サロンでギャッツビーはピアノの横にある小さなランプをつけた。震えるマッチでデイジーのタバコに火をつけ、部屋の反対側にあるソファにデイジーと一緒に腰かけた。きらめく床に反射する光を除けば、なんの光も届かなかっ…

グレート・ギャッツビー 第五章-10

グレート・ギャッツビー 第五章-10 「早く来て!」と窓辺でデイジーが叫んでいた。 雨はまだ降っていたけど、暗闇が西に広がり、海の上にはピンクと金色の泡のような雲が広がっていた。 「あれを見て」と彼女はささやき、しばらくしてから 「ピンクの雲に乗…

ギャッツビー 時代の流行歌

グレート・ギャッツビー の五章の最後に当時の流行歌、「楽しいよね?」が出てくる。1921年の曲。ギャッツビー の時代は大恐慌の前のはずなのにこんなにも庶民は苦しかったんだ。。。20年代にひたれるのでお時間がおありでしたらお聞きください。(ひたりたく…

グレート・ギャッツビー 第五章-9

グレート・ギャッツビー 第五章-9 家を見た後は、運動場、プール、高速ボートや真夏の花々を見ることになっていたが、窓の外ではまた雨が降り出したので、みんなで窓際に立って湾に波立つ水面を見ていた。 「霧がなければ、湾の向こうに君の家が見えたのに」…