夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

2020-01-01から1年間の記事一覧

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-2 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

これから何が起こったかをお話しするので、 ご自分で判断していただきたい。 ロジャー・バトン一家は、興隆以前のボルチモアにおいて社会的にも経済的にも 誰もが羨やむ地位にあった 。有名な一族の親戚であり、南部連合の大部分を占める 大貴族の一員として…

ベンジャミン・バトン やっぱり英語の冠詞は難しい

前回のブログでは、結局、いつもtheを使ってればいいんじゃない?という感じになってしまいました・・・ そうなんでしょうか?確かにビジネスの場合では、相手と共通の認識を確認しながら話を進めていくので、the でいいのかもしれませんね? 「その商品が・…

ベンジャミン・バトン 英語の冠詞のお勉強

今日は冠詞を見てみましょう。 昔、日本で働いていた頃、英文を書くのにaなのかtheなのか迷っていたら上司が「theにしておけば大体大丈夫」と言ってました。 そういうものかもしれません。でももう少し深く知りたいですよね? さて、対訳 ベンジャミン・バト…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-1 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

1860年のような昔は、自宅で出産するのが望ましいとされていたが、 現在では、神がかり的な医学の進歩が、新生児の産声は病院の麻酔薬の匂いが漂う中で、願わくばおしゃれな病室で発せられるべきだと定めたらしい。若きロジャー・バトン夫妻は、1860年の夏の…

ベンジャミン・バトン 前置詞のお勉強

前置詞って苦手なんですよね。みなさんはいかがですか。 でも、とっても大事で、これが間違っているとせっかくがんばって書いた英語の文章の出来が一気に下がってしまいます。おまけに間違っていることに気づきにくい。。。 ということで、今回は、ベンジャ…

対訳ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 前書き 続き THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

この物語は昨年の夏、コリアーズに掲載されたのだが、シンシナティ市の匿名の崇拝者より驚くべき手紙を頂戴した。 謹啓 「コリアーズ」に掲載されたベンジャミン・バトンの物語を読ませていただきましたが、短編小説家として貴方は面白い奇人として名を馳せ…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 前書きTHE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

皆さんこんにちは。お久しぶりです。 新しい連載を始めたいと思います。何を題材にするか迷いましたが、スコット・F・フィッツジェラルドの作品が大変気に入ったので彼の有名な作品である、The curious case of Benjamin Button にしました。 THE CURIOUS CA…

日本語訳が見つかりにくい表現

たくさんの方々にいらしていただいてありがとうございます。 コロナ自粛ウツ?でしょうか、なんか力が出なくてブログを放置してました。すみません。来週からいよいよ職場復帰です。景気がひどく落ち込んでいるので、職があるということはありがたいですが、…

ギャッツビー の難しい英文を考える

soraike123.hatenablog.com 最後の章の、ニックが抱く壮大な想像についての文章をみてみよう。 And as the moon rose higher the inessential houses began to melt away until gradually I became aware of the old island here that flowered once for Dut…

グレート・ギャッツビーのニックについて考える

ニックは自分に近いキャラクターなので分析しづらい。。。自分を切り刻んでるようで。みなさんとは違う意見になるかもしれません。違うご意見をお持ちの方、コメントしていただければうれしいです。 ニックの性格の根本をなしているものは二つある。 一つ目…

ギャッツビー英文の難しさと、どうやって意味をとるか

それにしても、グーグル検索で「グレートギャッツビー」と調べると、次のもっともよく検索されている言葉は「つまらない」って言うのはアゴにデッドボールをくらったようなショックでしたね でも、違う見方をすると、ここで小説ギャッツビーについて一人漫才…

新・デイジー分析

グレート ギャツビーって検索をかけると、三つ目にあがってくるグーグルでポピュラーな言葉は「つまらない」。。。 そ、そうだったか。いや、だからこそ、このサイトが大事になってくるんですって。ねっ? デイジーってどんな評価か、ちょっと調べてみると。…

グレート・ギャッツビーは時代の先を読む

なんで小説「グレート・ギャッツビー」の主人公、ギャッツビーにはグレートのタイトルが与えられているんだろうか?この小説を理解する上でも重要な問題だと思う。 作者はタイトルをずいぶん悩んだそうで、トリマルキオとか、金色帽子の跳ね上がりもの(この…

ギャッツビー のストーリーを年表にまとめてみた

グレート・ギャッツビー の大まかな年表です。 ギャッツビーが一年スペリオル湖周辺にいては計算が合わないし、デイジーの娘がまだ2歳というのもおかしいし、 3歳にすると結婚する前にできていたのかという疑問がわいてしまいます。でも、年表があった方が話…

感謝を込めてプレゼント🎁🎁🎁🎉🎊🎉🎊

みなさまにプレゼントのお知らせです🎉🎁🎁🎁🎊 長年のサポートに対する御礼といたしまして、電子書籍サイトのパブーよりグレート・ギャッツビーの日本語訳を発表いたしました。もちろん無料です。 縦書き形式でつくってありますので、できればePub でダウンロードして…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-15 ついに最終回!!!

グレート・ギャッツビー 第九章-15 オレはそこに座りこんで、太古の見知らぬ世界に思いをはせていた。 デイジーの波止場の先に、緑の光を初めて見つけた時の、ギャッツビーの驚きはどんなだっただろう。長い長い旅路の果てにやっとこの青々としげる芝生にた…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-14 太古の夢

グレート・ギャッツビー 第九章-14 オレが引っ越す時、ギャッツビーの家はまだ空き家のままだった。彼の芝生はオレのと同じくらい伸びていた。村のタクシー運転手の中には、ギャッツビー邸の門を過ぎると、しばらく車を停めて中を指差してみせるまで、料金を…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-13 また一つ大人になった👱‍♂️👨‍🦰👨‍🦱

グレート・ギャッツビー 第九章-13 オレに言えることは何も無かった。ただそれはウソだという口に出せない真実を除いては。 「もしオレが全く苦にしてないというんなら・・・聞いてくれよ、あの部屋を手放そうとした時・・・ 犬のビスケットの箱が食器棚に置…

グレート・ギャッツビー 対訳  第九章-12 辛い事実に直面する

グレート・ギャッツビー 第九章-12 10月下旬のある日の午後、トム・ブキャナンの姿を見かけた。彼は五番街に沿ってオレの前を歩いていた。警戒心を伴ったきびきびとした歩きで、邪魔を払い除けるように両手を体から少し離し、せわしなく動く目に合わせて首を…

映画「華麗なるギャツビー」のテーマソングYoung and Beautiful を聞きながら翻訳のコツ

このブログに来ていただいてありがとうございます。 ギャッツビー を9割ほど訳し終えて、最後を駆け抜ける前に仕切り直しが必要とちょっと一息いれてるところです。 youtu.be この小説を要約している映画のテーマソングをどうぞ。 この映画と原作と違うとこ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-11

グレート・ギャッツビー 第九章-11 ギャッツビーの死後、東部にはそういったゆがみが染みついてしまって、オレがいくら見直してみても消えなかった。落ち葉を焼く青い煙が漂い、吹く風に物干し綱に揺れる洗濯物がこわばる季節に・・・ オレは家に帰ることを…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-10

グレート・ギャッツビー 第九章-10 オレの一番鮮明な思い出の一つは、寄宿していた高校から、そして後になっては大学から、クリスマスに西部に帰省する時のものだ。シカゴよりも先に行く連中は、12月の夜6時に古くて薄暗いユニオン駅で合流する。シカゴの友…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-9

グレート・ギャッツビー 第九章-9 5時頃、3台の車からなるオレたち一向は墓地に到着し、霧雨の中、門の脇に停車した。先頭が、雨に濡れて不気味に黒い霊柩車、次にリムジンに乗ったギャッツ氏と牧師とオレ、そして少ししてから、ギャッツビーのステーション…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-8 なんか泣けてくる

グレート・ギャッツビー 第九章-8 彼の事務所を出ると空は暗くなり、霧雨の中ウエストエッグに戻ってきた。着替えを済ませて隣の部屋に行くと、ギャッツ氏が興奮した面持ちで大広間を歩いているのが見えた。息子や息子の持ち物へのプライドはますますふくら…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-7

グレート・ギャッツビー 第九章-7 「ワシは何もないところからあれを育て上げたんじゃ。文字通りどん底からな。外見は立派で紳士的な若者だとすぐに分かった。オッグスフォード出だと言ってくれた時には、役に立つ男だとみたね。在郷軍人会に入れてみると、…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-6

グレート・ギャッツビー 第九章-6 葬儀の朝、マイヤー・ウルフシェイムに会いにニューヨークに出かけて行った。他の方法じゃあとてもじゃないがラチがあかなかった。「ザ・スワスティカ株式会社」と書かれた扉を、エレベーターの少年が言った通りに押して入…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-5

グレート・ギャッツビー 第九章-5 「どうされたいのか、わかりませんでしたので、ギャッツビーさん・・・」 「ギャッツです」 「あぁ、ギャッツさん。ご遺体は西部に運んだ方がいいんじゃないですか」 彼は首を振った 「ジミーはいつも東部の方を好いており…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-4

グレート・ギャッツビー 第九章-4 ヘンリー・C・ギャッツと署名された電報がミネソタ州のある街から届いたのは3日目の事だったと思う。そこには、差出人がすぐに出発することと、到着まで葬儀を延期して欲しい旨だけが書かれていた。 それはギャッツビーの父…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-3

グレート・ギャッツビー 第九章-3 翌朝、ウルフシェイム宛の手紙を執事に持たせてニューヨークにやった。そこには、いろいろ教えて欲しい事と、次の列車で来るように書いてあった。でも、書き終えた後、その頼みがムダな事のように思えた。新聞を見れば、彼…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-2

グレート・ギャッツビー 第九章-2 彼を見つけてから30分後に、反射的にためらう事なくデイジーに電話をかけた。でも、彼女とトムはその日の午後早くに大荷物を抱えて出かけてしまっていたんだ。 「どこに行ったか聞いてないのかい?」 「いいえ」 「いつ帰っ…