夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

グレート・ギャッツビー 第九章

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-15 ついに最終回!!!

グレート・ギャッツビー 第九章-15 オレはそこに座りこんで、太古の見知らぬ世界に思いをはせていた。 デイジーの波止場の先に、緑の光を初めて見つけた時の、ギャッツビーの驚きはどんなだっただろう。長い長い旅路の果てにやっとこの青々としげる芝生にた…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-14 太古の夢

グレート・ギャッツビー 第九章-14 オレが引っ越す時、ギャッツビーの家はまだ空き家のままだった。彼の芝生はオレのと同じくらい伸びていた。村のタクシー運転手の中には、ギャッツビー邸の門を過ぎると、しばらく車を停めて中を指差してみせるまで、料金を…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-13 また一つ大人になった👱‍♂️👨‍🦰👨‍🦱

グレート・ギャッツビー 第九章-13 オレに言えることは何も無かった。ただそれはウソだという口に出せない真実を除いては。 「もしオレが全く苦にしてないというんなら・・・聞いてくれよ、あの部屋を手放そうとした時・・・ 犬のビスケットの箱が食器棚に置…

グレート・ギャッツビー 対訳  第九章-12 辛い事実に直面する

グレート・ギャッツビー 第九章-12 10月下旬のある日の午後、トム・ブキャナンの姿を見かけた。彼は五番街に沿ってオレの前を歩いていた。警戒心を伴ったきびきびとした歩きで、邪魔を払い除けるように両手を体から少し離し、せわしなく動く目に合わせて首を…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-11

グレート・ギャッツビー 第九章-11 ギャッツビーの死後、東部にはそういったゆがみが染みついてしまって、オレがいくら見直してみても消えなかった。落ち葉を焼く青い煙が漂い、吹く風に物干し綱に揺れる洗濯物がこわばる季節に・・・ オレは家に帰ることを…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-10

グレート・ギャッツビー 第九章-10 オレの一番鮮明な思い出の一つは、寄宿していた高校から、そして後になっては大学から、クリスマスに西部に帰省する時のものだ。シカゴよりも先に行く連中は、12月の夜6時に古くて薄暗いユニオン駅で合流する。シカゴの友…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-9

グレート・ギャッツビー 第九章-9 5時頃、3台の車からなるオレたち一向は墓地に到着し、霧雨の中、門の脇に停車した。先頭が、雨に濡れて不気味に黒い霊柩車、次にリムジンに乗ったギャッツ氏と牧師とオレ、そして少ししてから、ギャッツビーのステーション…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-8 なんか泣けてくる

グレート・ギャッツビー 第九章-8 彼の事務所を出ると空は暗くなり、霧雨の中ウエストエッグに戻ってきた。着替えを済ませて隣の部屋に行くと、ギャッツ氏が興奮した面持ちで大広間を歩いているのが見えた。息子や息子の持ち物へのプライドはますますふくら…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-7

グレート・ギャッツビー 第九章-7 「ワシは何もないところからあれを育て上げたんじゃ。文字通りどん底からな。外見は立派で紳士的な若者だとすぐに分かった。オッグスフォード出だと言ってくれた時には、役に立つ男だとみたね。在郷軍人会に入れてみると、…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-6

グレート・ギャッツビー 第九章-6 葬儀の朝、マイヤー・ウルフシェイムに会いにニューヨークに出かけて行った。他の方法じゃあとてもじゃないがラチがあかなかった。「ザ・スワスティカ株式会社」と書かれた扉を、エレベーターの少年が言った通りに押して入…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-5

グレート・ギャッツビー 第九章-5 「どうされたいのか、わかりませんでしたので、ギャッツビーさん・・・」 「ギャッツです」 「あぁ、ギャッツさん。ご遺体は西部に運んだ方がいいんじゃないですか」 彼は首を振った 「ジミーはいつも東部の方を好いており…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-4

グレート・ギャッツビー 第九章-4 ヘンリー・C・ギャッツと署名された電報がミネソタ州のある街から届いたのは3日目の事だったと思う。そこには、差出人がすぐに出発することと、到着まで葬儀を延期して欲しい旨だけが書かれていた。 それはギャッツビーの父…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-3

グレート・ギャッツビー 第九章-3 翌朝、ウルフシェイム宛の手紙を執事に持たせてニューヨークにやった。そこには、いろいろ教えて欲しい事と、次の列車で来るように書いてあった。でも、書き終えた後、その頼みがムダな事のように思えた。新聞を見れば、彼…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-2

グレート・ギャッツビー 第九章-2 彼を見つけてから30分後に、反射的にためらう事なくデイジーに電話をかけた。でも、彼女とトムはその日の午後早くに大荷物を抱えて出かけてしまっていたんだ。 「どこに行ったか聞いてないのかい?」 「いいえ」 「いつ帰っ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-1 応援してね

グレート・ギャッツビー 第九章-1 あれから2年経った今、思い出せる事と言えば、当日、その晩、そしてその翌日と、警察やカメラマンや新聞社の連中がひっきりなしに出動訓練でもしてるみたいにギャッツビーの家の玄関を出たり入ったりしてた事だけだね。正面…