夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

2020-05-31から1日間の記事一覧

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-4

グレート・ギャッツビー 第七章-4 「お昼ごはんの前にお洋服を着替えたの」と子供がデイジーに振り返って熱心に言った。 「ママが皆さんにあなたを見ていただきたかったからなの」そう言ってデイジーは、白い小さな首筋に顔をよせた。「かわいいわたしの夢。…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-3

グレート・ギャッツビー 第七章-3 ギャッツビーは真紅のカーペットの中央に立ち、うっとりと辺りを見つめていた。デイジーが彼を見て、甘く刺激的な笑い声をたてると、胸元からかすかにパウダーが舞い上がった。 「噂によると」 ジョーダンがささやいた。「…

グレート・ギャッツビー 対訳  第七章-2 最高に暑い日はドラマが似合う

グレート・ギャッツビー 第七章-2 次の日は、その夏最後の一番暑い日だった。列車がトンネルを抜けて陽光の中に出てくると、ナショナル・ビスケット社(ナビスコ)の正午を知らせる熱い汽笛だけが、煮えたぎる静けさを引き裂いた。列車の麦わらの座席カバーは…