星の王子さま ブログで読める新訳 XII-1
つぎのほしは、よっぱらいのほしだった。そこにいたじかんはみじかかったけど、ちいさなおうじさまは、とてもかなしくおもった。
「そこでなにをしているんですか?」
あきビンとあいていないビンのれつをまえに、すわっているよっぱらいに、おうじさまはきいた。
「さけをのんでいるのさ」よっぱらいはかなしげなようすでこたえた。
「なんでのんでなんかいるんですか?」おうじさまは、さらにたずねた。
「わすれるためだよ」よっぱらいはこたえた。
「わすれたいって、なにをですか?」きのどくにおもって、おうじさまはききかえした。
「はずかしいことをわすれるためにさ」よっぱらいは、うなだれてうちあけた。
「はずかしいことってなんですか?」どうにかして、たすけたいとおもって、おうじさまはたずねた。
「のんでいることが、はずかしいのさ!」よっぱらいは、こたえるやいなや、じぶんのからにとじこもったまま、だまりこんでしまった。
おうじさまは、よわりきってそこをたちさった。
「おとなは、ほんとにほんとにとってもへんだよ」とつぶやきながら、さらにたびをつづけた。