夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

星の王子さま ブログで読める新訳 XXIII-1

「こんにちは」ちいさなおうじさまはいった。
「こんにちは」しょうばいにんはいった。

このしょうばいにんは、のどのかわきをいやす、くすりをうっていた。いっしゅうかんに、ひとつぶのむだけで、のみものはなにもほしくなくなるのだ。

「なにをうっておられるんですか」おうじさまは、きいた。
「このくすりのおかげで、じかんがずいぶんせつやくされるんだよ」しょうばいにんはいった。
「せんもんかが、けいさんしたんだが、まいしゅう53ぷんせつやくされることになる」
「その53ぷんでなにをするんですか?」
「なんでもすきなことさ」


おうじさまはひとりごとをいった。
「53ぷんを、すきなことにつかっていいんなら、きれいなみずがでるいどまで、たのしくゆっくりあるいていくんだけど」