夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

外国での初めてのクリスマス・・・

今週のお題「クリスマス」

ああ、クリスマスだなあと思うのは、シドニータウンホールに見事なデコレーションが輝きだす時だろう。バスの窓からも見える。街はあちらこちらにクリスマスツリーが飾られ、音楽がかかり、家にだってイルミネーションを飾っている人もいる。

シドニーにはじめてきたのは10年以上前のクリスマス直前で、知っている人もほとんどおらず、ハウスメイトは出かけてしまい、一人っきりで過ごす予定だった。でも、学校で知り合った友人のホームステイ先のご一家が、「外国から来た女の子が一人でいてかわいそう」と家に招いてくださったのだ。連絡がついたのは夜だった。暗い中、プラットフォームで電車を待っていたら、自分の前に止まった車両の電気がついておらず、ドアも開かず、どうしたらいいのか当惑していた。そのとき親切な車掌さんが、「早く!」といって、車掌室におしこんでくださった。あのころは、夜は節電をしていて、列車の半分のみに電気をつけ、限られた車両しか乗客に使わせないようにしていたのだった。あの時、車掌さんに押して込んでもらえなかったら、その家には、たどりつけなかっただろう。

クリスマスでどこも店は開いていないのに、外国人の子に食べさせるんだと、町中かけまわって「オーストラリアのケーキ???」パブロワを買ってきてくださった。その晩は泊めていただき、思いがけなく、翌日にプレゼントをもらった。Sの頭文字を抱いた小さな熊のぬいぐるみだ。色あせてしまったけど、今もとっている。現地の人に親切にされて、そのときの感激は何よりもうれしいプレゼントだった。残念ながら、パブロワは甘すぎて口に合わず食べるのに苦労したが。。。

あの瞬間に、オーストラリアにいようと決めたのかもしれない。クリスマスというと、どこか温かい気持ちがわいてくるのだった。