夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

2020-05-25から1日間の記事一覧

グレート・ギャッツビー 第六章-6 トムも来るの?

グレート・ギャッツビー 第六章-6 彼がこのことを話してくれたのはずっと後になってから。彼のご先祖についての最初の野暮な噂を打ち破るためにここに書いてみた。噂は真実とは程遠かったし。しかも、オレが混乱していた時に話してくれたんだ。彼の話を全て…

グレート・ギャッツビー 第六章-5

グレート・ギャッツビー 第六章-5 ギャッツビーの寝室に飾られていた彼の写真を覚えている。白髪まじりの赤ら顔の男で、表情の無い空虚な顔をしていた。開拓時代の放蕩者で、アメリカ史上のある時期に、辺境の売春宿や酒場の野蛮な暴力を東海岸に持ち帰った…

グレート・ギャッツビー 第六章-4 ボートの上で

グレート・ギャッツビー 第六章-4 オールを漕ぐ手を休め、レールで囲まれたデッキを見上げると、若きギャッツにとって、ヨットでの生活は世界中の美と華やかさを象徴したものだった。彼はコーディに微笑んだのだろう--おそらく自分が微笑むと人に好かれるこ…

グレート・ギャッツビー 第六章-3 コーディの顛末

グレート・ギャッツビー 第六章-3 その数カ月前に、将来の栄光へと誘う本能に導かれて、ミネソタ州南部にあるルーテル派の小さなセント・オラフ大学に入学した。彼はそこに2週間しかいなかった。運命の太鼓の音にも、運命そのものにも、許しがたい程無関心な…

グレート・ギャッツビー 第六章-3 悪夢と陶酔

グレート・ギャッツビー 第六章-3 1年以上もの間、彼はスペリオル湖の南岸でアサリ掘りやサケ漁など、食べ物と寝床を得るために、ありとあらゆる仕事をした。日に焼けて鍛えられた体は、時に激しく、時にのんびりした試練の日々を自然にこなしていった。早く…