夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

2020-06-03から1日間の記事一覧

グレート・ギャッツビー 対訳  第七章-26

グレート・ギャッツビー 第七章-26 「体が大きく裂けてたよ」 「そんな事言わないでくれよ、君」彼は身震いした。 「とにかく・・・・デイジーがアクセルを踏んでしまったんです。彼女を停めさせようとしたんだが停まらなかった。だから、僕は非常用ブレーキ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-25

グレート・ギャッツビー 第七章-25 「脇道を通ってウェストエッグに着いたんです。車を車庫に置いてきました。誰にも見られていないと思いますが、確信はありません」 コイツのことが虫唾が走るほど嫌いになっていたんで、間違っているという気にもならなか…

グレート・ギャッツビー 対訳  第七章-24

グレート・ギャッツビー 第七章-24 もし家の中に入るとしたら、オレは大マヌケだぜ。この一日でみんなに飽き飽きしたんだって。もう十分だ。その中にはジョーダンも入ってた。彼女はオレの表情に何かを感じとったんだろう。不意に背中を向けて玄関の階段を駆…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-23

グレート・ギャッツビー 第七章-23 ブキャナン邸が、暗いざわめきのある木々の間から、不意にオレたちの方に姿を現した。トムは玄関の脇に車を停め、蔦の葉の間から二つの窓の灯りが華やかに漏れている二階を見上げた。 「デイジーが家にいる」と彼が言った…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-22

グレート・ギャッツビー 第七章-22 肌色の淡い身なりの整った黒人が近づいてきて言った。 「黄色い車だった。大きな黄色い車だったさね。新しい」 「事故を見たのか?」警官が尋ねた。 「いいや。40マイルかもっと出しててすれ違ったさ。50か60だったかもし…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-21

グレート・ギャッツビー 第七章-21 まだ少し離れているところから、数台の自動車と人だかりが見えてきた。 「事故だな! 良かったな。これでウィルソンも修理仕事ができそうじゃないか」 トムはスピードを落としたが、停まる気はなかった。でもガレージのドア…