星の王子さま ブログで読める新訳 レオン・ヴェルスのために
星の王子さま
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ Antoine de Saint-Exupery 作
SuRaJune 訳
はじめに
レオン・ヴェルスのために
こどものみなさん、どうかこのほんを、おとなのひとにささげることをゆるしてほしい。
だいじなわけがあるんだ。
だいいちに、せかいじゅうでいちばんなかよしの、ぼくのともだちだってこと。
にばんめに、このひとは、なんでもわかるひとだってこと。こどものほんだってちゃんとわかるんだよ。
さんばんめに、いまフランスにいるんだけど、おなかをすかしてこごえている。だから、はげましがひつようなんだ。
もし、これだけのりゆうでもじゅうぶんじゃなかったら、いまはおとなだけど、かつてのこどもにささげたいとおもう。おとなだってみんな、むかしはこどもだったんだから。ほんのすこしのひとしか、それをおぼえていないんだけど。だからもういちどかきなおすことにする。
かつてこどもだった
レオン・ヴェルスのために
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「星の王子さま」はなんかいも読んでいる。そのたびにふしぎとなにか発見がある。
「星の王子様」というすばらしいタイトルは内藤濯氏(岩波書店)の創作である。
夢の世界を届けてくれたサンテグジュペリ氏と内藤先生にこころから感謝したい。
著者・サンテグジュペリがいたころは第二次世界大戦中であり、彼の祖国、フランスはナチス・ドイツの占領下にあった。著者は、亡命先の空軍パイロットとして参加していたのだった。
この献辞にどれほどのおもいがこもっていることだろう。
ここに記されている、レオン・ヴェルス(ウエルス)は、実在の人であり、ユダヤ人であるため身を隠さねばならなかった。著者よりもはるかに年上であったが、非常に仲がよかったという。
戦争をする「おとなたち」が童心をもちつづける著者にとってどううつったかとおもうと、こころがいたむ。
それでも、すべての人にそして、とくに世界中の子どもたちに著者の思いがつたわるように・・・
皆さんの心の中に、世界で(宇宙で)たった一つしかない、バラの花がさき、愛で満たされていますように・・・
「星の王子さま」にはなぞの部分も多い。
三本のバオバブが、ドイツ・イタリア・日本の枢軸国を暗示するともいわれている。
物語に出てくる、美しいバラの花は、サンテグジュペリの夫人がモデルともいわれている。たしかに、バラの花の描写は妙に切実で、現実味をおびている。星の王子さまは、戦争のはざまで見失いかけた作者の童心であろうか。
それはともかく、こどもたちとかつてこどもだった人々のために書かれた本である。
それならば、その形式をふまえるのが妥当だろう。おもいきって、ぜんぶひらがなで訳してみた。
書き出すと、ふしぎと心の中にいたパイロットが自然に言葉をはなしはじめた。あとは、書きとめるだけだった。
参考にさせていただいた、大久保ゆう氏の作品、プロジェクト・グーテンバーグ オーストラリア (Project Gutenberg Australia)原語版, キャサリン・ウッズ (Katherin Woods)女史の英語版に心から感謝したい。とくに大久保ゆう氏の訳は深くほりさげられており、氏の作品にめぐりあわなければ、このプロジェクトはうまれなかったことを銘記しておく。
翻訳に関しては、フランス語版・英語版を参照して、できるだけ原書に忠実なるように努めた。
読んでいただいた方にこころからの感謝と友情をこめて
SoRaJune
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