星の王子さま ブログで読める新訳 XIX-1
それから、ちいさなおうじさまは、たかいやまにのぼってみた。それまでは、ひざぐらいのたかさのかざんしか、しらなかった。ひがきえたかざんは、こしかけにつかっていた。「これだけ、たかいやまにのぼれば、ほしぜんたいがみわたせて、ひとが、みんなみえるにちがいない」そうつぶやいた。
でも、はりのようにとがった、いわやまのいただきしかみえなかった。
「こんにちは」ていねいにいってみた。
「こんにちは、こんにちは、こんにちは」こたえはこだました。
「どなたですか?」おうじさまはいった。
「どなたですか、どなたですか、どなたですか」こたえはこだました。
「ぼくとともだちになってください。ひとりぼっちなんです」おうじさまはまたいった。
「ひとりぼっちなんです、ひとりぼっちなんです、ひとりぼっちなんです」こたえは、またこだました。
「なんてへんなほしだろう!どこもかしこも、かわいていて、とがっていて、けんあくで、よそよそしい。それから、
ひとはなんのそうぞうりょくも、もちあわせてやしない。ただきこえたことを、まねするだけだ。あぁ、ぼくのほし!そこには、ぼくのはながさいていて、いつもさいしょにはなしかけてくれたのに」