夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

星の王子さま ブログで読める新訳 XIX-1


それから、ちいさなおうじさまは、たかいやまにのぼってみた。それまでは、ひざぐらいのたかさのかざんしか、しらなかった。ひがきえたかざんは、こしかけにつかっていた。「これだけ、たかいやまにのぼれば、ほしぜんたいがみわたせて、ひとが、みんなみえるにちがいない」そうつぶやいた。
でも、はりのようにとがった、いわやまのいただきしかみえなかった。


「こんにちは」ていねいにいってみた。
「こんにちは、こんにちは、こんにちは」こたえはこだました。
「どなたですか?」おうじさまはいった。
「どなたですか、どなたですか、どなたですか」こたえはこだました。
「ぼくとともだちになってください。ひとりぼっちなんです」おうじさまはまたいった。
「ひとりぼっちなんです、ひとりぼっちなんです、ひとりぼっちなんです」こたえは、またこだました。
「なんてへんなほしだろう!どこもかしこも、かわいていて、とがっていて、けんあくで、よそよそしい。それから、


ひとはなんのそうぞうりょくも、もちあわせてやしない。ただきこえたことを、まねするだけだ。あぁ、ぼくのほし!そこには、ぼくのはながさいていて、いつもさいしょにはなしかけてくれたのに」