星の王子さま ブログで読める新訳 XXVI-2
そのばん、おうじさまが、でかけていったのにきづかなかった。だまっていってしまったのだ。
やっとおいついたとき、おうじさまは、ひとりでしっかりしたあしどりであるいていた。
「あぁ!きたんだ・・・」
おうじさまは、ぼくのてをとって、こまったようなかおをした。
「きちゃいけなかったのに。きっとかなしむよ。ぼくがしんだようにみえるよ。でも、そうじゃないんだ・・・」
ぼくは、なにもいわなかった。
「わかってよ・・・とおすぎるんだよ。からだをもっていけないんだ。おもすぎて」
ぼくは、なにもいわなかった。
「ただのぬけがらみたいなもんだよ。ぬけがらなんて、なんにもかなしくないよ・・・」
ぼくは、なにもいわなかった。
おうじさまは、ためらったようだけど、おもいきったように、もうひとこといいそえた。
「すごいんだよ、わかるよね。ぼくも、ほしをみあげる。ほしはみんな、さびついたベルトぐるまのある、いどみたいだよ。そして、みんなぼくに、きれいなみずをくれるんだ」
ぼくはなにもいわなかった。
「それって、すてきでしょ。あなたには、ちいさなベルが5おくあるんだ。ぼくには、きれいなみずのいどが5おくあるんだ・・・」
それからおうじさまはもうなにもいわなかった。ないていたから・・・
「ここだよ。ここからはひとりでいかせて」