夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

グレート・ギャッツビー 対訳 第二章-17

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グレート・ギャッツビー 第二章-17

 午後もふけて、少しの間、空が窓から地中海の青い蜜のように見えた。そこへ、マッキー夫人のキンキン声がオレを部屋へ引き戻した。

「わたしももうちょっとで間違うとこだったのよ」

 彼女は勢い込んで言った。

「もう少しでさえないユダヤ人と結婚するとこだったの。何年も追いかけてきて。ダメな男だってわかってたの。みんなが言ったのよ。『ルシル、あの男はあんたとあまりにも釣り合わないわ!』もし、チェスターと出会わなかったら、あの男と結婚してたかも」

「そうね、でも聞いてよ」

 大きく頷きながらマートル・ウイルソンが言った。

「とにかくその男とは結婚しなかったでしょ?」

「そうね、しなかったわ」

「あーあ、わたしは彼と結婚しちゃったの」

 マートルは言葉を濁した。

「それがあなたのケースとわたしのとの大きな違いね」

「どうして結婚しちゃったの、マートル? 誰も無理強いしなかったでしょ?」

 キャサリンが問い詰めると、マートルは考えこんだ。

 

Chapter 2-17

The late afternoon sky bloomed in the window for a moment like the blue honey of the Mediterranean--then the shrill voice of Mrs. McKee called me back into the room.

"I almost made a mistake, too," she declared vigorously. "I almost married a little kyke who'd been after me for years. I knew he was below me. Everybody kept saying to me: 'Lucille, that man's way below you!' But if I hadn't met Chester, he'd of got me sure."

"Yes, but listen," said Myrtle Wilson, nodding her head up and down, "at least you didn't marry him."

"I know I didn't."

"Well, I married him," said Myrtle, ambiguously. "And that's the difference between your case and mine."

"Why did you, Myrtle?" demanded Catherine. "Nobody forced you to."

Myrtle considered.