夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

新・デイジー分析

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グレート ギャツビーって検索をかけると、三つ目にあがってくるグーグルでポピュラーな言葉は「つまらない」。。。😱😭😱

そ、そうだったか。いや、だからこそ、このサイトが大事になってくるんですって。ねっ?

 

デイジーってどんな評価か、ちょっと調べてみると。。。悪女とか、わがまま、金持ちで甘やかされたとかボロボロだね。本を読むとギャッツビーにいれこんでくるんで、デイジー憎しみたいになるよね?デイジーのせいでギャッツビー が死んだんだ。。。みたいな。

 

確かにデイジーがお金があるってことに甘えてるのはわかる。

 

七章で、暑い日にみんなで高級ホテルに行った時、エアコンも無い時代なんで暑いのはわかるけど、もっと風が入るように「じゃあ斧を持ってきてもらうよう電話して」って平気で言うよね。緊張で手が震えてタバコに火がつけられないと、火のついたマッチを床に投げ捨てるし。当時は化学繊維が無かったから火事にはならないにしろ、ひどいマナーだよね。なんでもお金で解決できるって思ってるのがわかる。

 

でも、お金で解決できないことがある。それがマートルをひき殺したことだよ。このデイジーのパニックぶりは想像できる。彼女に解決できない問題が降り掛かったんだよね。

 

その前に、ギャッツビーの求愛に振り向かなかったので打算的な女とか、金にしか目がない女とか言われるけど、あの時、トムの調査によりギャッツビーが危ない関係の人で刑務所に行く一歩手前の人っていうことがわかったんだよね。この状態で、それでもギャッツビー の元に行きたいと思う女性はなかなかいないと思う。むしろ、ギャッツビーが合法的にお金を得ていたと信じ込まされていて、結局は裏切られたんだから、ここは彼女が被害者だと自分は思う。この人は信じられない、ついていけないとデイジーが考えたのはごく普通の反応だと思う。

 

それで、あのマートル殺人事件。それまで問題はなんでも他の人が解決してくれて、トムの浮気のように解決できなければ、無視することで済ませてたんだよね。そりゃあ、パニックにもなる。そして、次の日にはウイルソンが妻の仇をうとうとピストルを持って家に来るしね。警察に行くとかまともな判断を下せない状態だったはず。

 

この時、あなたの奥さんを殺したのはわたしです、どうかわたしを撃ってくださいって何人の人が言えるだろうか?もちろん善悪の判断から言えば、そこで名乗り出るべきだったんだけど。あの状態になれば、自分か、トムが死ぬか、ギャッツビー が死ぬか、それだけの選択しかなくて、流れに乗っちゃったって感じだよね。

 

作者のフィッツジェラルドの奥さん、ゼルダは後に重い精神病にかかるんだけど、デイジーも同じ運命を辿ったような気がしてならない。パニックで花をギャッツビーの葬式に送るほどの気持ちの余裕はかけらもないよね。ああ、わたしが殺しんだ、あの女の人もギャッツビーもって地獄にいるような気持ちだと思う。

 

だからって、デイジーは、本質的に悪い人ではないと思う。ギャッツビーを陥れようという気持ちなんかサラサラないし、精一杯ギャッツビーの気持ちにそうようにもしたし。ただ、運命の流れがそうならなかっただけだと思う。確かにマートル殺しの罪から逃げたところで小説が終わるんで、悪人としか見えないけど、彼女はその責任を負う力がなかった。だからそれでいいって言ってるわけではないけど、デイジーは悪運を背負ってしまった不幸な人で、本質的には悪い人間ではないと思う。だから、単純に悪女として片づけられないと思うけど、どうだろう?

 

自分の知ってる人で、両親に甘やかされて、きれいで、自分のことは全て他人任せにして一切責任を取らない人がいる。もちろん人殺しはしたことがないけど、デイジーに似てる気がするんだよね。彼女は難しいし周りの人を傷つけるけど、悪気はないってことはわかる。

 

それとも世間ではこういう人を悪女って言うのかな?いや、自分は、悪気があって相手を陥れようとして傷つける人を悪人って呼ぶと思うんだけど。みんなの周りにもデイジーみたいな人はいない?