夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

2020-06-02から1日間の記事一覧

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-20

グレート・ギャッツビー 第七章-20 トムとクーペに乗り込み、ロングアイランドに向けて出発したのは午後7時のことだった。トムは興奮して笑いながらひっきりなしに話していたが、その声は、歩道の見知らぬ人の話し声や高架の喧騒のように、ジョーダンとオレ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-19

グレート・ギャッツビー 第七章-19 その表情が通り過ぎると、勢い込んでデイジーに話し始めた。すべての汚名を否定し、言われていない非難まであげて自分の名誉を挽回しようとした。でも、いくら言っても、彼女はますます内にこもっていくばかりで、とうとう…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-18

グレート・ギャッツビー 第七章-18 「お前の『ドラッグストア』が何か知ってるんだぞ」彼はオレたちの方を向いて早口で話し出した。 「こいつとウルフシェイムは ここいらとシカゴの路上ドラッグストアを買い占めて 穀物製アルコールを カウンターで売ってい…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-17

グレート・ギャッツビー 第七章-17 「ああ、あなたはあまりにも沢山のことを望みすぎなのよ!」ギャッツビーに向かって叫んだ。「今はあなたを愛しているの。それだけで十分じゃない?過去はどうしようもないんだもの」彼女は力なくすすり泣き始めた。 「前…

グレート・ギャッツビー 対訳  第七章-16

グレート・ギャッツビー 第七章-16 「あなたこそ混乱してるじゃない」デイジーが言って、オレの方を向いた。ゾッとするような軽蔑を込めて1オクターブ下げた声が部屋中を満たした。「わたし達がシカゴを離れた理由を知ってる?あの大騒ぎを聞かなかったとし…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-15

グレート・ギャッツビー 第七章-15 「座りなさい、デイジー」トムは父親のようにしゃべろうとしたが上手くいかなかった。 「何があったんだ。オレは全部聞きたい」 「何があったかは今お話ししたとおりです」ギャッツビー が言った。「5年間の親交がありまし…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-14

グレート・ギャッツビー 第七章-14 「落ち着けだって!」トムは信じられないと言うように繰り返した。「最近は、どこからともなく来た誰でもないヤツに奥さんを寝取られるってのが流行ってるようだな? ヘン、それがいいって言うんなら、オレは手を引くさ。.…

グレート・ギャッツビー 対訳  第七章-13 対決

グレート・ギャッツビー 第七章-13 「彼はたぶん誰かにたかりながら帰って行ったのね。イェール大学ではあなたのクラスの級長だったと言ってたわよ」 トムとオレは顔を見合わせた。 「ビロクシが?」 「第一に、級長なんてもんは無かったよ...」 ギャッツビ…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-12 思い出話

グレート・ギャッツビー 第七章-12 トムが受話器を取り上げると、圧縮された熱が音になって爆発し、下の舞踏室からメンデルスゾーンの結婚行進曲の威勢の良い和音が聞こえてきた。 「この暑い中に誰かと結婚するなんて!」ジョーダンが無愛想に叫んだ。 「で…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-11

グレート・ギャッツビー 第七章-11 「素晴らしいスイートね」とジョーダンがうっとりとささやき、誰もが笑った。 「別の窓を開けて」とデイジーが鏡から振り向くことなく命令した。 「もうこれ以上は無いよ」 「じゃあ斧を持ってきてもらうよう電話して...」…

グレート・ギャッツビー 対訳 第七章-10 決闘場所は決まった

グレート・ギャッツビー 第七章-10 単純な心に起きた混乱ほどやっかいなものはない。車を走らせている間、トムは熱い焦燥の鞭が当たるのを感じていた。妻と愛人は1時間前までは安泰だったのに、今や彼の手元から滑り落ちようとしていた。デイジーに追いつき…

グレート・ギャッツビー 対訳  第七章-9 背後の気配

グレート・ギャッツビー 第七章-9 クーペが埃を舞い上げて、振った手が見えたかと思うとあっという間にオレたちの横を通り過ぎていった。 「いくらになるんだ?」イライラしてトムが聞いた。 「この2日間、おかしなことに気づいたんです」ウィルソンは言った…