夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

星の王子さま ブログで読める新訳 VII-2


よるになった。ぼくはどうぐをおいた。こんなときに、ハンマーやネジや、のどのかわきや、しぬことでさえも、「じゅうだい」だっていえる?たったひとつのぼくのほし、ちきゅうのうえに、なぐさめてほしいおうじさまがいるんだ。ぼくはおうじさまをだきあげて、やさしくゆすりながらいった。


「きみがしんぱいしてるはなは、だいじょうぶだよ。きみのヒツジには、はなをたべないようにくちわをかいてあげる。はなのまわりには、さくもかいてあげるから・・・」


おうじさまになんてこえをかけていいのかわからなかった。じぶんが、ぶきようでまぬけにおもえた。もういちどこころをかよわせるのに、どうしたらいいかのおもいつかなかった。


おうじさまは、なみだにぬれる、かなしみのくににかくれてしまっていたから。