夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

星の王子さま ブログで読める新訳 VIII-1

しばらくして、このはなのことがもっとわかってきた。ちいさなおうじさまのほしには、つつましやかなはなしか、さかなかった。はなびらはひとえしかなくて、ばしょもとらず、だれのじゃまにもならなかった。あるあさ、くさのなかからすがたをあらわし、よるになれば、しずかにきえていくのだった。


でもあるひ、どこからともなく、あたらしいタネがやってきて、めをだした。ちいさなおうじさまは、このちいさなめを、ねっしんにみまもっていた。それは、どんなめともちがっていた。あたらしいしゅるいのバオバブかもしれなかった。


でも、くきはすぐのびるのをやめて、はなのしたくをはじめた。はじめておおきなつぼみをみつけたとき、どんなすてきなきせきがおこるのかと、わくわくした。


でも、そのはなは、みどりのこべやにこもったまま、したくをやめなかった。いろはとくにねんいりにえらんだ。ゆっくりドレスをきて、はなびらをいちまいずつていねいにととのえた。はらっぱにさくヒナゲシのように、しわくちゃでよにでるなんてとんでもなかった。ひかりかがやくうつくしいすがたででたかったのだ。そう!そのはなは、すばらしくきれいだった。そして、ひみつのおめかしを、なんにちも、なんにちもつづけていた。