星の王子さま ブログで読める新訳 VIII-1
しばらくして、このはなのことがもっとわかってきた。ちいさなおうじさまのほしには、つつましやかなはなしか、さかなかった。はなびらはひとえしかなくて、ばしょもとらず、だれのじゃまにもならなかった。あるあさ、くさのなかからすがたをあらわし、よるになれば、しずかにきえていくのだった。
でもあるひ、どこからともなく、あたらしいタネがやってきて、めをだした。ちいさなおうじさまは、このちいさなめを、ねっしんにみまもっていた。それは、どんなめともちがっていた。あたらしいしゅるいのバオバブかもしれなかった。
でも、くきはすぐのびるのをやめて、はなのしたくをはじめた。はじめておおきなつぼみをみつけたとき、どんなすてきなきせきがおこるのかと、わくわくした。
でも、そのはなは、みどりのこべやにこもったまま、したくをやめなかった。いろはとくにねんいりにえらんだ。ゆっくりドレスをきて、はなびらをいちまいずつていねいにととのえた。はらっぱにさくヒナゲシのように、しわくちゃでよにでるなんてとんでもなかった。ひかりかがやくうつくしいすがたででたかったのだ。そう!そのはなは、すばらしくきれいだった。そして、ひみつのおめかしを、なんにちも、なんにちもつづけていた。