夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

グレート・ギャッツビー 対訳 第九章-15 ついに最終回!!!

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グレート・ギャッツビー  第九章-15

 オレはそこに座りこんで、太古の見知らぬ世界に思いをはせていた。

 デイジーの波止場の先に、緑の光を初めて見つけた時の、ギャッツビーの驚きはどんなだっただろう。長い長い旅路の果てにやっとこの青々としげる芝生にたどり着いて、彼の夢はつかみ損ねることなんか絶対に無いくらい、近くに見えたに違いない。でも、彼は自分の夢がすでに遠く後ろに逃げ去ってしまっていた事を知らなかった。ニューヨークなんか通り越して、どこか広々として、ぼんやりとした世界に、真っ暗な夜の下、この共和国に広がる暗くて果てしない原野のどこかに逃げていってしまっていたんだ。

 

 ギャッツビーは緑の光を信じていた。オレたちから年々遠ざかっていく眩しい未来を信じていた。そして、結局、オレたちの手からこぼれ落ちていってしまったけど、大丈夫だよ・・・明日はもっと早く走って、もっと遠くまで腕を伸ばすから・・・そしていつの日か、ある晴れた朝に・・・

 

 だからオレたちは、流れに逆らう船のように、前へ前へとこぎ進んでいく。絶え間なく過去へと押し流されていきながらも。

 

終わり

 

 

And as I sat there brooding on the old, unknown world, I thought of Gatsby's wonder when he first picked out the green light at the end of Daisy's dock. He had come a long way to this blue lawn and his dream must have seemed so close that he could hardly fail to grasp it. He did not know that it was already behind him, somewhere back in that vast obscurity beyond the city, where the dark fields of the republic rolled on under the night.

 

Gatsby believed in the green light, the orgastic future that year by year recedes before us. It eluded us then, but that's no matter--tomorrow we will run faster, stretch out our arms farther. . . . And one fine morning----

So we beat on, boats against the current, borne back ceaselessly into the past.

The End

 

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ニックと二人三脚の長い旅を終えて感激でいっぱいです。

応援していただいて本当にありがとうございました。支えていただなければ途中で終わってました。

 

キラ星のような先輩方、たくさんの名訳の数々を残してくださって感謝に絶えません。

フィッツジェラルドはこの小説を書き終えて10年分の進歩が見られたと言ったそうですが、自分にも数年分の進歩ぐらいならあったかも🤭

 

とにかくニックを信じてたくさんしゃべってもらって良かった。21世紀の男の子が間違って1920年代のアメリカに紛れ込んでしまった戸惑いみたいなものを少しでも書き残す事ができたのではないかと思う。少なくとも感じ方には今とそんなに違いがないって。。。うーん、そう思いたい🤔

 

それではまた。いつの日か晴れた朝に。。。