夕焼け色の記憶

翻訳した作品を中心に、オーストラリアから見て思ったことなどをつづっていきたいと思います。シドニー在住

ベンジャミン・バトン

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-10 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

衝撃的な父と子のご対面。生まれたての赤ん坊が喋り出すなんて予想を超える 老人はしばらくの間、穏やかに一方から他方へと目を向けていたが、突然、かすれたしゃがれ声で話し出した。 「あんたがわしの父親かい?」 バトン氏と看護師は激しく驚いた。 「も…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-9 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

ついに赤ん坊登場 前振りが長い threescore and tenの意味がわからなかったけど、scoreは20年の意味で、3 x 20 +10 となり、人間の寿命を表す70年のこと。聖書にあるんだって。 バトン氏は重い足を引きずりながら看護師の後を追った。長い廊下の先には、赤…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-8 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

おめでたいはずの第一子誕生が、ずいぶんドラマチック。それにしても、看護師の表情とか階段を落ちていく洗面器の音とか、作者のフィッツジェラルド、ドラマを盛り上げるよね 〈ここから本文〉 そして、医者は急に向きを変えると、歩道の脇に停めてあった自…

ギャッツビーとフランクリン

久しぶりにベンジャミン・バトンと書こうとしてベンジャミン・フランクリンと書いてしまったのはたまたまなんだけど (https://soraike123.hatenablog.com/entry/2021/11/17/150700) ベンジャミン・バトンの作者であるフィッツジェラルドは、フランクリンから…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-7 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

なんか医者の様子が腑に落ちないので、焦るバトン氏。彼の質問がおかしい。「三つ子ですか?」 https://www.familytreemagazine.com/photos/the-ring-brothers-triplets-in-the-1850s/ 上の記事によると19世紀では三つ子はとても珍しかったそう。 ここから本…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-6 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

「落ち着きなさい!」キーン医師が鋭く言った。彼はやや苛立っているように見えた。 「子供は生まれたんですか?」とバトン氏は尋ねた。 キーン医師は顔をしかめた。「そうですね、一応そうですね」。彼は再びバトン氏に風変わりな視線を注いだ。 「妻は大丈…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-5 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

Southern gentleman とはどんな人? 「風と共に去りぬ」でも、南部紳士みたいなコンセプトが出てきたよね。今はずいぶん時代が違うからそれに当てはまる人は少ないと思うけど一応知っておいた方がいいかも。 https://www.southernliving.com/culture/dating-…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-4 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

子どもが産まれたという報告を聞いて病院に駆けつけるバトン氏。お金持ちなので私立の大きな病院に頼むんだけど、そんな病院でも医者が手を洗う水道は病院の外にあったらしい描写が19世紀末のアメリカを思わせる。 ウイキペディアによると1840年ごろからアメ…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-3 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

久しぶりのベンジャミン・バトン。すっかり忘れてて、タイトルをベンジャミン・フランクリンって書いちゃったよ アメリカ人だけど、全く別人。時代もバトンより100年早い! https://soraike123.hatenablog.com/entry/2020/08/28/134939 前回はこちら ここか…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-2 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

これから何が起こったかをお話しするので、 ご自分で判断していただきたい。 ロジャー・バトン一家は、興隆以前のボルチモアにおいて社会的にも経済的にも 誰もが羨やむ地位にあった 。有名な一族の親戚であり、南部連合の大部分を占める 大貴族の一員として…

ベンジャミン・バトン やっぱり英語の冠詞は難しい

前回のブログでは、結局、いつもtheを使ってればいいんじゃない?という感じになってしまいました・・・ そうなんでしょうか?確かにビジネスの場合では、相手と共通の認識を確認しながら話を進めていくので、the でいいのかもしれませんね? 「その商品が・…

ベンジャミン・バトン 英語の冠詞のお勉強

今日は冠詞を見てみましょう。 昔、日本で働いていた頃、英文を書くのにaなのかtheなのか迷っていたら上司が「theにしておけば大体大丈夫」と言ってました。 そういうものかもしれません。でももう少し深く知りたいですよね? さて、対訳 ベンジャミン・バト…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 1-1 THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

1860年のような昔は、自宅で出産するのが望ましいとされていたが、 現在では、神がかり的な医学の進歩が、新生児の産声は病院の麻酔薬の匂いが漂う中で、願わくばおしゃれな病室で発せられるべきだと定めたらしい。若きロジャー・バトン夫妻は、1860年の夏の…

ベンジャミン・バトン 前置詞のお勉強

前置詞って苦手なんですよね。みなさんはいかがですか。 でも、とっても大事で、これが間違っているとせっかくがんばって書いた英語の文章の出来が一気に下がってしまいます。おまけに間違っていることに気づきにくい。。。 ということで、今回は、ベンジャ…

対訳ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 前書き 続き THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

この物語は昨年の夏、コリアーズに掲載されたのだが、シンシナティ市の匿名の崇拝者より驚くべき手紙を頂戴した。 謹啓 「コリアーズ」に掲載されたベンジャミン・バトンの物語を読ませていただきましたが、短編小説家として貴方は面白い奇人として名を馳せ…

対訳 ベンジャミン・バトンの奇妙な実態 前書きTHE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON

皆さんこんにちは。お久しぶりです。 新しい連載を始めたいと思います。何を題材にするか迷いましたが、スコット・F・フィッツジェラルドの作品が大変気に入ったので彼の有名な作品である、The curious case of Benjamin Button にしました。 THE CURIOUS CA…